みなさんは日々の生活の中で「ご笑覧」という言葉を見聞きしますでしょうか?
「ご笑覧」「ご笑納」「ご高覧」など似たような言葉がたくさんありますが、意味や使い方は最低限理解しておきたいものです。
そんな本日は「ご笑覧」の詳しい意味と正しい使い方、そして類語や例文、言い換え方について詳しく解説していきます。
「ご笑覧」の意味と使い方は?
まず最初は「ご笑覧」の意味と使い方について見ていきましょう。
「ご笑覧」という言葉は、「笑覧」に丁寧な接頭辞「ご」をつけた、相手を敬う表現の一つです。
「笑覧」の「笑」という字は、竹かんむりの下に「犬」という字が付いた会意文字、との説が古くからあります。
この場合の竹は「簫」(しょう)という、日本古来の楽器を表します。
現在でも、宮内庁の楽師が奏でる雅楽で、口元で吹く木製の小さな楽器をご覧になったことがある方もいらっしゃるでしょうが、あれが簫です。
犬は人に良く慣れる動物であり、簫の音に喜んでいる様を示すのが、「笑」の元来の意味とされます。
また、本来は口に格好をつけて、小さく口をすぼめて「ホホホ」と笑うといった、軽いほほえみを示したともいわれています。
一方「覧」という漢字は、もともとは「上から下を見る、高いところから広く見渡す」という意味を示します。
このように「笑覧」は、文字通りには「ほほえみながら、上から見る」といった意味になりますが、現在では「どうぞ笑いながらでも、見ていただきたい」と自分をへりくだって、相手に見てもらうことをお願いする言い方です。
主として、自分が制作した物、芸術や文芸作品などについて、お披露目をする際に、けんそんして内覧をすすめる表現だといえます。
特徴的なのは、へりくだった表現なのに、言葉が示す対象は相手の行為であるということです。
すなわち「この作品はたいしたものではなく、公表するのは恥ずかしいのですが、まあ笑いながらでも結構ですので、どうか見てください」といった、話し手側の控えめな感情を示しているといえます。
一般的には、招待状、案内状などの書面で使用する例が多い言葉です。
日本語の表現では、このように自分に関することをへりくだって、あえて卑下して述べる言葉がよく見られます。
「拙文」、「拙作」、「拙稿」、「駄文」、「乱筆」、「愚息」などで、日本的な謙譲精神の特徴表現だといえるでしょう。
「拙作ご笑覧願います」などと、これらを併せて使用する言い方もあります。
「ご笑覧」の類語と例文を教えて?
次に「ご笑覧」の類語と例文について見ていきましょう。
「ご笑覧」のように、「相手に見てもらう」ことを敬って言う表現としては、例えば「貴覧」、「賢覧」、「尊覧」、「清覧」などがありますが、いずれもかなり堅い、現在ではあまり使用されない難しい言葉です。
また特に天皇や皇族に見ていただくことに限定した表現としても、「台覧」、「奏覧」、「上覧」、「天覧」、「叡覧」などがありますが、これらも一般には使用されません。
「笑覧」と同じ発音の「照覧」という語もありますが、これは「神々が見ること」という特殊な用語です。
このため一般には「観覧」、「内覧」、「閲覧」、あるいは「ご覧ください」などが類語となるでしょう。
「ご笑覧」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- このほどブログを開設しましたので、お暇な折にご笑覧いただけると幸いです。
- 初めての個展開催ですが、お誘い合わせの上、一度ご笑覧くださるとうれしいです。
「ご笑覧」の類語と例文をご紹介しました。
使う際は是非、参考にしてみてくださいね。
「ご笑覧」の言い換え方が気になる!
最後に「ご笑覧」の言い換え方について見ていきましょう。
「ご笑覧」とは、前述のように相手にへりくだって見てもらうことをお願いする言い方ですが、言い換えの際には注意する点があります。
「ご笑覧」はあえて自分を卑下しており、「真剣なものごとを嘲笑しながら見てほしい」という、実際にはあり得ない、やや冗談めかしたニュアンスがこもっています。
このため自分の作品の披露などのときだけに使うべきだといえます。
ビジネスでの交渉事、会議など緊張感ある場面で資料を提示するような際には、「ご笑覧」は使用はせず、「ご覧ください」、「ご確認ください」、「ご一読ください」などと言うのが適切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「ご笑覧」の詳しい意味と正しい使い方、そして類語と例文、言い換え方についてご紹介しました。
ビジネスシーンでも活用する場面などは多々ある表現方法ですが、使う場所と相手をしっかりと見極めないといけません。
お堅い場面で活用するのはNGということは覚えておきましょう!