普段みなさんは「ご臨席」という言葉を見聞きしたり使ったりしますでしょうか。
「ご臨席賜り」という表現で使う人もいますが、いったいどのような場面でどのような意味合いを持つ言葉なのでしょうか。
そんな本日は「ご臨席」の詳しい意味と正しい使い方、そして案内文を上司や目上の人に送る場合の例文をご紹介したいと思います。
さらに「ご臨席」と「ご出席」の違いや使い分け方も一緒にチェックしていきましょう!
「ご臨席」の意味と使い方は?
まず最初に「ご臨席」の意味と使い方について見ていきましょう。
「ご臨席」という語は「臨席」という動名詞に、敬語表現の接頭辞「ご」を冠した形です。
「ご臨席」の「臨」という漢字は、元来は「上から下を見下ろす」、「高い崖から下を見る」といった意味合いを示します。
転じて、「上位の立場の者がある場所へ行く」という意味でも使われます。
「席」は、もともとは草や竹を編んで作った「むしろ」のことを示し、「人が座る敷物」のことを意味したとされます。
このように「臨席」は、相手を敬って、あるいは立場や地位が上にある人について、「ある場所に座ったり、出向くこと」を丁寧に表現しています。
一般には、「何かの会合の席に座ること」、「式典に出席すること」という意味合いでの使い方が多い言葉です。
かしこまった言い方であり、主には書面や挨拶の口上などで使うことがもっぱらだといえるでしょう。
「会合に参加する」という趣旨では他にも多くの類語があります。
ただそれぞれに微妙にニュアンスが異なりますので、違いを認識しておくと、公式な文書作成などの際には有益です。
例えば「参列」は葬儀などに一緒に参加すること、「参会」は会合に加わることの、いずれもあらたまった言い方です。
「出頭」は主に役所に呼び出されて出向くこと。「出場」はイベントなどの大会、試合に出ることです。
「臨場」は、事件現場などに警察官や消防士らが向かうことですが、日常的には「臨場感」といった言い方のほうが一般的でしょう。
また「列席」は「臨席」に近い意味合いだといえます。
一方「出座」とは殿様や将軍などの登場、「出御」とは天皇が式典などに出られることを指します。
「上様のご出座」、「天皇陛下が植林祭に出御された」などが用例です。これらは一般的には使用されません。
通常の会話やくだけた場面では「顔を出す」、「お邪魔する」といった表現も使われます。
上司に「ご臨席」という表現方法で案内文を送る場合の例文は?
次に上司や目上の人に案内文を送る際に「ご臨席」を使った例文をいくつかご紹介したいと思います。
「ご臨席」はビジネスシーンでもよく見られる表現の一つだといえます。
例えばプレゼンテーションやイベント、講演会などを企画した際に、取引先や上司などに対して、案内文をメールなどで送る際にも使用することができます。
例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- このたび、社内の働き方改革に関する有識者講演会を企画いたしましたので、なにとぞご臨席いただきますよう、お願い申し上げます。
- 創立記念日の式次第がまとまりましたので、ご高覧願います。なお当日は市長、市議会議長のご臨席も賜る予定となっております。
「ご臨席」を使った例文をご紹介しました。
上司や目上の人に案内文を送る際は是非、参考にしてみてくださいね。
「ご臨席」と「ご出席」の違いと使い分け方は?
最後に「ご臨席」と「ご出席」の違いと使い分け方について見ていきましょう。
「ご臨席」と近い言葉には、前述の類語のほかに、平易でよく使われる「ご出席」という言い方があります。
「ご出席」は何かの会合、集会や学校の授業、講義などに参加することです。
一般には最も使用頻度が高く、公的、私的にどんな場面でも使いやすい表現だといえるでしょう。
「ご出席」は「ご臨席」より堅さは和らいだ表現ですが、地位が高い人や上司などに対しても「来週の会議に、ご出席をお願いいたします」などと使用ことができます。
ただ「創設○○周年記念式」、「全国○○大会」、「入学式・卒業式」といった特別で厳粛な式典などに関して、あいさつや案内をする際には、やはりかしこまって相手を敬う言い方である「ご臨席」を使う方がふさわしいといえます。
なお「出席」は、「会社や役所の勤務につく」、「スポーツなどの試合に出る」場合には使用しませんので、注意も必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「ご臨席」の詳しい意味と正しい使い方、そして上司や目上の人に案内文を送る場合の例文について詳しくご紹介しました。
「ご臨席」と「ご出席」の違いや使い分け方も理解できたと思うので場面によって使い分けて頂けたらと思います。
「ご臨席」と似た表現で「ご列席」という表現方法があるのですが、それはまた別の機会に詳しくご紹介したいと思います。