みなさんは普段、「ご明察(ごめいさつ)」という言葉を見聞きしたり使ったりしますか?
「ご明察の通り」や「ご明察です」という言葉を使っている人が多々いますが、一体どんな意味合いがある表現方法なのでしょうか。
そんな本日は「ご明察」の意味と使い方、そして「ご名答」との違いや類語、例文を詳しくご紹介したいと思います。
「ご明察」の意味と使い方は?
まず最初に「ご明察」の意味と使い方を見ていきましょう。
「ご明察」という言葉は、「明察」という名詞に、漢語につく丁寧な形をつくる接頭語「ご」を冠した形の語です。
「ご明察」という形の場合は、このまま名詞として使うことが一般的です。
「明察」では、「明察する」などと動詞として活用することもあります。
「明察」の「明」という漢字は会意文字です。
「日」と「月」という字で成り立っています。
これはそれぞれ「太陽」の形と「欠けた月」の形を示し、天の明るい天体から「あかるい」を意味する字となりました。
ここから転じて、「物事を見分けたり見通したりする力がある」ことや、「物事がはっきりしている」、「明らかにする」といった意味にも用いられるようになりました。
一方の「察」も会意文字、及び形声文字です。
うかんむり「宀」と「祭」で構成されています。
うかんむりは「家屋(屋根)」の形であり、「家」を表します。
「祭」はそもそもは、「いけにえの肉」と「神にいけにえを捧げる台」、及び「右手の形」を指すとされます。
すなわち「いけにえの肉を手で捧げる」ことであり、ここから「まつる」の意味に転じたとされます。
このことから「察」は、元来は「屋内で祭りを行い、神の心をはっきりさせる」という意味合いを表しました。
そして「調べて明らかにする」や「推し量る」といった意味の字になりました。
こうしたことから、「明察」は「はっきりと真相や事態を見抜くこと」、あるいは「その場の事態・事情などを明確に理解し、判断すること」といった意味合いを示します。
この丁寧な形が「ご明察」ですので、そうした相手の鋭い推察力や判断について、相手のことを敬って、持ち上げる際の言葉だといえます。
「ご明察」と「ご名答」との違いや使い分け方は?
次に「ご明察」と「ご名答」の違いや使い分け方について見ていきましょう。
このように、「ご明察」は、「ある人やものごとの真意を見抜いた推察」という意味合いを持つ表現です。
主には、会話などの中で、自分の真意や背景事情、深層心理などを、特に説明もしないのに、相手が言い当てたような場合に、慣用的に「ご明察です」のように使います。
より簡単な言葉で言い換えると「お察しの通りです」ということになるでしょう。
「ご明察」は、勘が鋭い人や先を読み通す力のある人に対して、褒めたり敬意を示したりするときに使う言い方だといえます。
一方、「ご明察」と似たようなイメージの言葉に「ご名答」というものがあります。
これもやはり、相手との会話などで「ご名答です」と使うことがあります。
しかし「ご名答」はその字の通り、「優れた、すばらしい答え」を意味します。
この場合の「名」は名詞の前につけて「大変よい」、「評判が高い」といった意味合いを示す表現です。
このため「ご名答」は、何らかの問答を行っている中で、ある問いに対して、言い得て妙な答え、あるいはズバリ正解を答えた場合について、相手に対して用いる言い方だといえます。
これに対し「ご明察」を使うケースは、会話の中で相手に必ずしも何かを質問したり、自分の気持ちなどについて「分かりますか」とたずねている状況であるとは限りません。
もっと広く、色んなやり取りを重ねる中で、言外ににじんだ自分の真意を、問わず語りに相手が指摘したような場合に、多少の驚きや喜びを交えて使うのが「ご明察」だといえます。
「ご明察」の類語と例文が気になる!
最後に「ご明察」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「ご明察」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 先見の明
- 洞察
- 的を射た
- 正鵠を射る
- ご明晰
- 読みが深い
- ご活眼
- ご卓見
- ご賢察
- 図星
- 的中
などがありますね。
なお「先見」とは、「物事が起こる前に、あらかじめそれを見通すこと」をいいます。
また「洞察」は、「表面的に見ていたのではわからないような、物事の真実を見抜くこと」を指します。
「ご明察」の例文としては、次のようなものが挙げられます。
◆例文
- さすがは○○さん。まさにご明察の通りです。
- いちいちおっしゃるとおりです。ご明察と言わずにはいられません。
- ご明察です。この新しい機能こそが、新商品の一番の目玉でございます。
「ご明察」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたか?
「ご明察」の意味と正しい使い方、そして「ご名答」との違いや類語、例文について詳しくご紹介しました。
類語や例文を知ることでより一層、その言葉に対する理解が深まると思うので是非、一緒に頭に入れておいてくださいね。