みなさん、「ご冥福(ごめいふく)」という言葉を見聞きするとどんな印象を受けますか?
テレビで著名人が亡くなったときに「ご冥福を~」と言っているキャスターや芸能人をよく見かけますよね。
人様がお亡くなりになられたときに使う言葉として「ご冥福」という表現方法がありますが、どんな意味合いを持っている言葉なのでしょうか。
そんな本日は「ご冥福」の意味や読み方、そしてお悔やみとの違いや使い方について詳しく解説したいと思います。
「ご冥福」の読み方と意味は?
まず最初に「ご冥福」の読み方と意味について見ていきましょう。
「ご冥福」という言葉は【ごめいふく】と読みます。
これは「冥福」という語を丁寧に述べた言い方です。
「冥福」は「みょうふく」という読み方もあるようですが、一般的には「めいふく」という音の方が流布しているでしょう。
「冥福」の「冥」という漢字は、いくつかの意味を持ちます。
例えば「先がよく見えない暗闇」、「深いこと、深み」、「崇拝する神仏や、神仏の力」、「人の死後のあの世」などです。
「冥福」の場合、「冥」は一番最後の「死後」のことを指します。
「福」は文字通り、幸福、幸せのことです。
死者が向かうとされる場所は「冥土」や「冥界」といった言葉でも表されます。
すなわち「冥福」とは、「亡くなった人が行く先である冥界での幸福」を意味します。
あるいは、その幸福を祈るために行う仏事のことを「冥福」と呼ぶ場合もあるようです。
このほか「冥福」は、「前世からの因縁による幸福」、また「他の人や仏様の徳によって与えられる幸福」といった意味合いを示すこともあります。
しかし現代では、「知人などが亡くなった後も、その人の死後の世界での安らぎや幸せを願う」という文脈で使われることが通例の言葉だといえます。
「ご冥福」はこうした「冥福」の丁寧表現ですから、亡くなった方やその遺族に対して「ご冥福をお祈りします」と述べる弔いの言葉です。
「ご冥福」の類語と例文を教えて?
次に「ご冥福」の類語と例文について見ていきましょう。
「ご冥福」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 弔意を表する
- 悼む
- 菩提を弔う
- 死後のご平安を祈る
- 安らかな眠りを願う
「ご冥福」の例文には次のようなものがあります。
- 突然の悲報に接し、心よりご冥福をお祈りいたします。
- 在りし日をしのび、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
- 今はただ、故人のご冥福を祈って手を合わせるばかりです。
「ご冥福」の類語と例文についてご紹介しました。
是非、参考にしてみてくださいね。
「ご冥福」と「お悔やみ」の違いと使い方は?
最後に「ご冥福」と「お悔やみ」の違いと使い方について見ていきましょう。
「冥福」という言葉の由来については、「仏教思想から派生している、仏教に関連する用語」という説がある一方、仏教の成立や伝来以前から存在する、各地の土着の信仰から生まれたもの、とする見解もあります。
こうした「冥福」という言葉への解釈の違いによって、「ある特定の場面では使ってはいけない」という、いわゆるタブーの考え方も、人によって異なるようです。
「ご冥福」を純粋な仏教用語であるとする立場からは、キリスト教や神道の葬儀では使用すべきではない、とする意見が聞かれます。
例えばキリスト教では、死者は迷うことなく晴れて神の国の「天国」に召され、永遠の安らぎを得るとされるのだから、「暗闇の中にある死後の世界で、幸福を願う」という意味の「冥福を祈る」を使うのはおかしい、という趣旨です。
また同じ仏教の中でも、教義の違いから「ある宗派では冥福を使うべきではない」とする考え方もあるようです。
一方で「冥福は必ずしも仏教関連語ではない」とする立場からは「この言葉は『目に見えない神仏の力』という意味もあるのだから、どういった宗教であれ使うことに問題はない」といった見解も聞かれます。
このように議論が分かれている上、一般の人が知人などの葬儀に参列した際、その儀式がどういう宗派なのかなどは、宗教や葬祭の専門家でもない限り明確には分かりにくいものです。
このため弔電を打ったり、葬儀に出席して弔いの言葉を述べる場合には、「お悔やみ申し上げます」や「哀悼の意を表します」といった表現の方が使用しやすいでしょう。
ちなみに「悔やみ」とは「人の死を悼んで弔うこと」を意味します。
また、ご遺族などに直接口上で述べる際は「ご愁傷様でございます」が適切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「ご冥福」の意味や読み方、そして「お悔やみ」との違いや使い方について詳しくご紹介しました。
お亡くなりになられた方や遺族の方に弔いの意味を込めて「ご冥福をお祈りします」と伝える表現方法ということが分かったと思います。
「ご冥福」という言葉の意味と使い方は理解できたと思いますので、使う機会があった際は参考にしてみてください。