みなさんは私生活の中で「あやかる」という言葉を見聞きしたりしますか?
「あやかる」という言葉を聞いてあまりポジティブな印象を受けませんが、実際に言葉として使うときに最低限、意味や使い方を理解しておきたいものです。
そんな本日は「あやかる」の詳しい意味と正しい使い方、そして類語や例文について詳しく解説していきたいと思います。
「あやかる」の意味は?
まず最初は「あやかる」の意味について見ていきましょう!
「あやかる」は漢字では「肖る」と書きます。
「肖」は「小」という字の下に「月」という字で成り立っていて、月は人間の体を表します。
つまり「肖」は元来は、他者と体が似ていて、なおかつ小さいことを示す字です。
ちなみに「私は不肖の息子です」といった言い方がありますが、「不肖」は親に似ていないことを意味します。
「立派な自分の親とは違い、私は出来の悪い子供です」と、けんそんする表現だといえます。
また「肖像画」という言葉もありますが、これも鏡をみながら、自分に似せて描いた絵ということになります。
このように「あやかる(肖る)」は、あるものや人に似るようにする、という意味の動詞です。
尊敬したりあこがれたりするものについて、同じように自分もなる、ということを示します。
何かに感化され影響を受けて、それと同じ状態になることを表しますので、一般には良いこと、素晴らしいものについて使う言葉だといえます。
あこがれる他者やもののことを称揚し、ほめたたえる文脈で、「なんて素晴らしいのか。自分もあやかりたい」といったように、それを強調する言い方だといえます。
ただこれが転じて、「他人の力を利用して、自分の目的を果たす」とか、「他人の幸運や成功にうまく便乗して、自分の利益をはかる」という、多少よこしまな行動についても使われることがあります。
「あやかる」の正しい使い方は?
次に「あやかる」の正しい使い方について見ていきましょう!
「あやかる」と語感が似ている言葉に、「あずかる」、あるいは「ちなむ」といった語句があります。
しかしこれらは「あやかる」とは意味合いが異なっていますので、誤用には注意が必要です。
「あずかる」は、「預かる」または「与る」と漢字で書きますが、「あやかる」と紛らわしいのは「与る」の方の使い方です。
「与る」は、主に目上のひとから、好意の表れとして何かをもらう、受け取るといった意味があります。
立場が上の人、集団のリーダーなどから善意の施しを受ける、というイメージです。
一方で「あやかる」は、前述のように「あこがれる他者のように自分もなりたい」、または「他人の成功に便乗する」という意味です。
このため、例えば「おこぼれにあやかる」や「お相伴にあやかる」という表現は間違いになります。
この場合はどちらも「与る」が正しい用法です。
また「ちなむ」は、漢字で「因む」と書きます。
これは「つながりを持つ、関係を持つ」、あるいは「縁を結ぶ、親しくする」といった意味です。
ですから「干支にちなんだデザイン」や「記念日にちなんだお祭り」といった言い方が正しく、「干支にあやかった~」などとするのは誤用になります。
「あやかる」の類語と例文が気になる!
最後に「あやかる」の類語と例文を見ていきましょう。
「あやかる」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 浴する
- まねる
- 同化する
- 感化される
- お裾分けをもらう
また「他人の力を使って利益を得る」といった文脈での類語としては、「尻馬に乗る」、「便乗する」、「虎の威を借る」、「(西施の)ひそみに倣う」などがあります。
このうち最後の「ひそみに倣う」は中国の故事に基づく言葉で、「善悪も考えず、むやみやたらに人のまねをする」といった意味です。
何かに成功したような際に、自分をけんそんして言う表現です。
「あやかる」の例文では次のようなものが挙げられます。
◆例文
- ご結婚おめでとう。幸せなあなた方に、心からあやかりたいです。
- 志望校合格とはうらやましい。自分もあやかりたいものだ。
- 彼の名前は、あこがれる歴史上の偉人にあやかってつけられた。
- あの店は新商売でずいぶん儲かっているようだね。うちもあやかって始めるか。
- ご主人様がこのままもっと出世を遂げられたら、われわれもあやかれるというものだ。
「あやかる」の類語と例文をご紹介しました。
類語や例文を知ることでより一層、言葉の理解が深まると思うので是非、参考にしてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「あやかる」の詳しい意味と正しい使い方、そして類語や例文を詳しくご紹介しました。
もし日々の生活の中で「あやかる」という言葉を利用する場合は、参考にして頂けたらと思います。