「煽る」に似た言葉として、「唆す」「けしかける」「焚き付ける」など色々な言い方がありますよね。
どれも他人をその気にさせて何かを行動させることを意味しますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
しっかりと理解して、正しく使い分けたいものですね。
そこで、この記事では「煽る」に似た言葉の違いと使い分け、そして例文を詳しくご紹介します。
「煽る」に似た言葉の意味と使い分けは?
まず始めに「煽る」に似た言葉の意味と正しい使い分けを見ていきましょう。
「煽る」に似た言葉として、「おだてる」、「唆す」、「けしかける」、「焚き付ける」、「扇動する・アジる」をご紹介します。
「煽る」の意味
まず、「煽る」そのものの意味は、風を送り火の勢いを強めることがもともとの意味です。
もともとの意味どおり、うちわなどで風を起こして勢いを強めたり、風がものを揺り動かすという意味でももちろん使われますが、競争心、購買欲を増大させる場合によく使われます。
また、最近ではSNSなどで相手の感情を刺激する場合にも使われますね。
近年社会問題にもなっている「煽り運転」などの文脈でも使われます。
これは、自動車を運転しているときにぴったり後ろについて走行し、前の車に威圧感を与えることですね。
加えて、写真の構図でも「煽り」という言葉が使われることがあります。
これは、低い位置から上向きに写すことを意味します。「煽りの構図」などの使い方ですね。カメラ好きの方には馴染みの言い回しではないでしょうか。
また、お酒を酒をぐいっと飲むことの意味でも使われますね。
「おだてる」の意味
次に、「おだてる」は、甘い言葉で人を釣るという意味です。「煽る」はどちらかと言うと激しい言葉や人を刺激する言葉で特定の行動を促すことに対して、「おだてる」は良いことをいってその気にさせて特定の行動を促します。
「唆す」の意味
次に、「唆(そそのか)す」は、悪いことをさせることを意味します。
「煽る」「おだてる」は、必ずしも悪いことをさせるわけではありませんが、「唆す」は、対象となる人に良くないことをするよう促すことを意味します。
「けしかける」の意味
次に、「けしかける」は、犬に声をかけて相手に向かわせるように、自分の思い通りに何かをやらせることを意味します。
「おだてる」、「唆す」の意味として使われることもあります。
「焚き付ける」の意味
次に、「焚き付ける(たきつける)」は、文字通り火をつけて燃やすように、相手の感情を刺激するという意味で、個人や少人数に対して使います。
「唆す」や「けしかける」と同じ意味で使われることもあります。
「扇動する・アジる」の意味
次に、「扇動する・アジる」は、多数の人・大衆を対象として、ある運動などを起こさせる場合に使います。「アジる」のアジは、アジテーションの略で、動詞化した俗語です。もともとは左翼運動用語として使われていた言葉です。
このことから、個人や少人数の集団ではなく、大勢の人や大衆に対して使われる言葉です。
「煽る」に似た言葉の例文は?
次に「煽る」に似た言葉の例文をご紹介します。
「煽る」の例文
「煽る」の例文を以下に挙げます。
- 近隣の人々の集会で、彼は集まった人々を激しい口調で煽った。
- 悪名高き詐欺集団は、言葉巧みに高齢者を煽って高額商品を買わせていた。
- ある国では、その昔、貴族が大衆を煽って戦争に駆り立てていた。
「おだてる」の例文
「おだてる」の例文を以下に挙げます。
- 忙しいので、子供をおだててお使いに行かせた。
- 私は女性の同僚におだてられ、ついその気になってしまった。
「唆す」の例文
「唆す」の例文を以下に挙げます。
- 自ら悪事をはたらきたくなかったので、友達を唆して柿を盗ませた。
- 精神的に弱っている人につけこんで、悪事を唆す。
「けしかける」の例文
「けしかける」の例文を以下に挙げます。
- 近所ののら犬をけしかけて、泥棒に噛みつかせた。
- その代議士は住民をけしかけて、あたらしい商業施設建設に対する反対運動を起こさせた。
「焚き付ける」の例文
「焚き付ける」の例文を以下に挙げます。
- 彼はあることないことを並べて人をたきつけた。
- 私は友人をたきつけて、不動産屋に値下げ交渉に行かせた。
「扇動する」の例文
「扇動する」の例文を以下に挙げます。
- その組織のリーダーは群衆を扇動し、暴動を起こした。
- その議員は聴衆を扇動し、見事に議場を混乱に陥れた。
「アジる」の例文
「アジる」の例文を以下に挙げます。
- その集会では、学生運動家のリーダーが大声でアジった。
- 組合の新しい代表者は、組合員をさかんにアジった。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「煽る」に似た言葉の違いと使い分け、そして例文を詳しくご紹介しました。
これらの言葉は、他の人に対して働きかけ、なにかの行動を促すときに使われる言葉ですが、それぞれ使われる場面が違います。
それぞれの言葉の意味の違いを理解して、正確に表現したいものですね!