普段、生活している中で「あいにく(生憎)」という言葉をよく使いますか?
恐らく大抵の人たちは意識せずに「あいにく」という言葉を使っていると思います。
ビジネスシーンでもよく活用する言葉なので意味や使い方を今一度理解しておきたいものです。
そんな本日は「あいにく(生憎)」の詳しい意味と正しい使い方、そして類語や敬語、例文を詳しく解説したいと思います。
「あいにく(生憎)」の意味と使い方は?
まず最初に、「あいにく(生憎)」の意味と使い方を見ていきましょう!
「あいにく(生憎)」は、元来は日本語の古い言葉である「あやにく」が語源であるとされます。
「あやにく」の「あや」は、「ああ」、「あら」といった、気持ちの高ぶりを表す感嘆詞が転じたものです。
「にく」は「憎い」という意味です。
つまり「あやにく」は「ああ、憎らしい」といった表現から来ていると考えられますね。
なお漢字書きの「生憎」のうち、「生」は当て字とみられます。
この「あやにく」は、近世以降は「あいにく」に転化していきましたが、元来はあるものごとに対して、「憎らしい」といった嫌な感情を起こす状態を表す言葉だといえます。
これが転じて、現在では「あるものごとを行おうとした際に、不都合が生じたり、事態を妨げる問題が起きたりして、残念に思うさま」を示します。
あるいは「たまたま具合が悪くて、相手の期待に沿えず、思いやったり、慰めたりする気持ち」を表現することもあります。
こうした意味の「あいにく」は相手に対しても、また自分自身に対しても使われます。
このほか現代では、相手がものごとに失敗したり、その思惑が外れたような状況に接して、「いい気味だ」とあざけったり、皮肉を込める意味合いを持つ場合もあります。
「(刑事が、人混みに紛れ逃げようとした犯人を見つけて)あいにくだな。俺は物覚えがいいもんでね」と言うような例です。
「おあいにく(お生憎)さま」という表現も、こうした意味合いを持つ用法が多いといえます。
本来「おあいにくさま」は、敬語の接頭辞や接尾辞が付いていることから、「あいにく」の非常に丁寧な言い方のはずです。
しかしこの表現は、現代では「あいにく」本来の「残念だ、かわいそうに」といった意味とはまったく逆に、「(予想外の状況に陥り)それ見たことか」と、相手をそしる感情をにじませたり、もう少し軽く、相手をからかうような意味合いを持つことが多いようです。
例えば「『女一人では、とてもじゃないが無理だよ』と馬鹿にしてらっしゃったけど、おあいにくさま。ほら、ちゃんとできましたよ」のような言い方です。
「あいにく(生憎)」の類語や同義語は?
次に「あいにく(生憎)」の類語や同義語を見ていきましょう。
「あいにく(生憎)」の類語や同義語には、次のようなものがあります。
「時機がよくなかった」という趣旨では、、
- 折あしく
- 折り悪く
- 運悪く
- タイミング悪く
- 不都合にも
- 間が悪く
などが挙げられます。
続いて「相手を思いやる」という意味合いでは、、
- 不運な
- 気の毒に
- 残念ながら
- 惜しいことに
- お察しする
- 不幸な
- 何の因果で
といった言い換えが出来るので覚えておきましょう。
「あいにく(生憎)」の敬語と例文を教えて!
最後に「あいにく(生憎)」の敬語と例文について見ていきましょう。
「あいにく(生憎)」はビジネスシーンでも頻繁に使うことの多い用語です。
例文には次のようなものがあります。
◆例文
- あいにく、今、課長は外出しております。よろしければ私がご用件を承りますが。
- 申し訳ありません。あいにく名刺を切らしております。
- せっかくおいでいただいたのですが、あいにく、どの店も品切れになっております。
- あいにくその日は別の予定が入っております。
- きょうはあいにくの天気ですね。
「あいにく(生憎)」の例文は以上となります。
「あいにく」は、それ自体が敬語表現でもあります。
「たまたま、残念ながら」、「タイミング悪く」と言いたい場面でも「あいにく」を使うことで、丁寧なイメージを与えることができます。
例えば、店でお釣りを渡す際に「あいにく、ただ今100円玉を切らせております。細かくなってもよろしいでしょうか」と尋ねるような場面です。
なお前述のように「おあいにくさま」は、一見丁寧語の形態ですが、意味は敬語とは真逆なことに注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「あいにく(生憎)」の詳しい意味と正しい使い方、そして類語や敬語、例文について詳しくご紹介しました。
普段、何気なく利用している言葉でも改めて調べてみるといろんな意味合いがあることが分かったと思います。
「あいにく」という言葉を普段、なんとなく使っている人はこれで大丈夫ですね!